糖質を摂るとしばらくして血糖値が上がり始めます。
だいたい食べ始めて早ければ10〜30分くらいで上がっていき、個人差はありますが食べ始め(通常、これを食後、と言います)から1時間でピークに達することが多いようです。
この時人の体内では様々なホルモンが分泌されますが、その中の筆頭はやはりインスリンです。
小腸に食べたものが達するとインクレチンと呼ばれるホルモン群が分泌され、それが膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促すのが主です。
正常な人であれば速やかにインスリンが体内に行き渡り、筋肉や脂肪細胞によって血中のグルコースを吸収してグリコーゲンや中性脂肪に置き換えますが、糖尿病人はこれがスムースに行かずに食後高血糖となります。
この現象は「グルコーススパイク」と呼ばれています。
HbA1cとグリコアルブミンでも書きましたが、過去の血糖値の平均値として利用されているこれらの指標は、すべて「糖化」による産生物をもとにしています。
この「糖化」は血糖値が高ければ高いほど発生しやすく、また糖化は「不可逆反応」なので、一度糖化したヘモグロビンやアルブミンは元に戻りません。
ヘモグロビンもアルブミンもどちらもアミノ酸から出来ている「タンパク質」の一種です。
血管はタンパク質が中心となって出来ていますから、身体のあちこちで「糖化」が起きやすい環境にあるわけです。
血管の壁(主にコラーゲンが血管の弾力性を保っているようです)が糖化してしまうと、血管は弾力性を失い、「動脈硬化」が起きやすくなります。
つまり、食後高血糖=グルコーススパイクが起きると、少なからず糖化のリスクが高まり、その結果動脈硬化のリスクも高まる、と言うことになります。
かつては動脈硬化の原因は主に「コレステロールの摂り過ぎ」と言われてきましたが、最近では「コレステロールの摂取は体内のコレステロール値に影響をほとんど与えない」と日本動脈硬化学会が発表したように、コレステロールの摂取は少なくとも関係ないとの見方が強まっており、悪役は糖化や酸化による血管その他へのストレスが大半を担うことになりました。
これらをふまえてみると、やはり食後高血糖はなるべく避けるべきであり、正常な人ならいざ知らず、糖尿病人は摂取カロリーよりも摂取糖質量を考えるべきでは、と思います。
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