ここ数年間、記事を書かない日々が続いていて、最近漸く、そこそこの間隔で時間が取れるようになってきたので、過去記事をあれこれ掘り起こしているのですが、よくよく見るとずいぶん書いたものだな、と感心してます(笑)
数にして1700余りの記事を書いてまして、結構いろんなこと書いてました。
どれもこれも読み直してみれば思い出せるものばかりなんですが、読み直すまで忘れていたこともあったりしていて、意外に面白かったりしてます。
今回は、その中でも脂質について、過去記事からまとめを書いてみようと思います。
脂質は悪者なのか
糖質セイゲニスト的には脂質は毎日のエネルギーを得るために最も効率の良い栄養素です。
タンパク質や糖質が1gあたり4カロリーであるのに対して、脂質は9カロリーと倍以上。
数値的には十分効率の良い栄養素ではあるのですが、いかんせん、世の中的には悪者扱いされやすい栄養素でもあります。
そんなイメージの脂質ですが、身体の中に摂りこんだ際に、どのような経路で運ばれてどのような役割を担っているのか、まとめてみました。
経口摂取から小腸まで
過去記事からの引用です。
脂質、主に食物から摂取する脂質は人の身体にある中性脂肪(トリグリセリド)と同じもので、胃から十二指腸を通り抜ける際に胆汁でまず乳化され、その後リパーゼの働きを受けてモノグリセリドと脂肪酸に分解され、小腸で吸収されます。
脂質について見直しませんか?(2)
仔細は引用先を読んでいただくとして、一部(短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸)を除いてほとんどの脂肪酸(長鎖脂肪酸)は小腸からリンパ管を通して全身に運ばれた後、最後に肝臓にたどり着きます。
この間、各細胞や器官では、必要に応じて取り込まれ、細胞内のTCA回路で糖新生を促してそのエネルギーとなったり、ケトン体となって血中に放出されます。
これらは必要に応じて行われるため、残った脂肪酸は肝臓でも糖新生のエネルギー源として利用され、それでも余った場合は中性脂肪として蓄えられることになります。
つまり、脂肪の摂りすぎは中性脂肪を増やす原因になります。
あれ? 糖質制限って脂肪多く摂るよね? って思いますよね。
血糖値と栄養素
では、糖質制限しない場合と糖質制限した場合の栄養素の量を比べてみましょう。
やはり以前の記事で書いていたパターンをそのまま移してみます。
「うどん(200g)+麺つゆ(ストレート:70g)+カボチャの煮付け(50g)」の場合、
カロリーは640kcal、糖質は概ね132g、タンパク質は14g、脂質はわずか1.2g程度です。
これに対して
「牛肉肩ロースステーキ(200g)+ミックスレタス(100g)」(すみません、趣味です)
の場合、カロリーは490kcal、糖質は概ね2g、タンパク質は38g、脂質は35g、となります。
脂質について見直しませんか?(2)
まあまあ食事としては満足できる範囲かと思いますが、前者の場合、カロリー計算上は糖質制限食よりも多いです。
つまり、カロリー的には糖質が余る可能性が高いのですが、じゃ、余った糖質はどうなるかというと……
中性脂肪になります。
残念ながら、何gの糖質が何gの中性脂肪になるのかまでは管理人は調べられず(多分分子式とか計算すればわかると思うのですが)、後でGoogle Bardにでも聞いてみようと思いますが、糖質食でも糖質制限食であっても、エネルギーとして余ったら中性脂肪はできるので、食べ過ぎは良くないということが言えると思います。
なので、カロリーについては同カロリーなら糖質食も糖質制限食もイーブン(実際は違うかもしれませんが)。
ですが、血糖値を上げるかどうかで言えば、糖質食はアウト、糖質制限食はセーフ、です。
要するに、2型糖尿病の場合や境界型の場合、血糖値スパイクを避けるには、糖質制限食の方が有利になる、ということです。
その上、先のカロリー計算でもわかると思いますが、どうしても満足度を得ようとすると、糖質食はカロリーが増えます。
こう言った面を考慮した場合も、糖質制限食の方が有利になるかと思います。
ただし、コストは糖質制限食の方が不利です(汗)
コレステロールについて
これ、気になる方も多いんじゃないでしょうか。
コレステロールは摂取することもできますが、肝臓で生成される方が多いことが知られています。
また、不飽和脂肪酸にはコレステロールが含まれていますが(5%程度ですが)、悪く言われる飽和脂肪酸にはコレステロールは含まれていません。
ではなぜ悪く言われるのでしょうか。
詳細なエビデンスは分かりませんが、いくつかの研究で、飽和脂肪酸を摂ると肝臓でのコレステロール生成が増えるようだ、という結果が出ているようです。
ちょっとモヤモヤしますが、致し方ないですね。
さてそのコレステロール、いわゆる動脈硬化や血栓の原因と聞きますが、最近では動脈硬化や血栓の危険因子は酸化LDLであると言われているようです。
酸化LDLが、血管壁(血管内皮細胞)を障害し、動脈硬化や血栓形成を引き起こす。
酸化された不飽和脂肪酸を含む酸化LDLは、血管内皮細胞を障害して、動脈硬化を促進させたり、血栓を作りやすい体質にする。酸化LDLでは、LDLを構成する、コレステロール、リン脂質、脂肪酸、アポ蛋白(アポB-100)などが、酸化的変性を受けるが、その中でも、コレステロール酸化物(オキシステロール)が、問題とされる。
脂質と血栓の医学より
LDLはHDLと対になる物質(リポ蛋白)で、引用のとおりコレステロールも構成物質の一つです。
LDLはコレステロールを末端の細胞に運び、HDLは逆に余分なコレステロールを肝臓に運び込みます。
このLDLが末端の細胞に届くまでに酸化されていると、その構成物質であるコレステロールも酸化されてしまい、結果的に酸化コレステロールが血管の内側のプラークとなる、ということのようです。
コレステロール酸化物(オキシステロール)は、平滑筋細胞に障害的に作用し、細胞死、マクロファージからのMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の分泌を促進させる。
脂質と血栓の医学より
専門用語が飛び交ってますが、何となくお分かりいただけるかと思います。
つまり、LDLが多いとその分酸化リスクも高くなり、動脈硬化が起きやすい、ということで、血中のLDL値が高いと「高コレステロール血症」と診断されるわけです。
ですが、実のところは、LDL値が高値だからと言って、必ずしも動脈硬化になりやすいわけではなく、あくまで「酸化LDL」が原因なんです。
でも、そこの区別はなかなかつけにくいので、医師としてはLDL高値=高コレステロール血症としてひとまとめに治療をする、と言ったことになっているのでしょう。
そこでスタチンを処方されるわけですが、このスタチンについてはこちらの記事で少し触れています。
何だか段々話が逸れてきたようなので、ちょっと戻します。
脂質の摂り方を見直す
脂質を摂ると余った場合は結果的に中性脂肪となるのですが、これは糖質も同じです。
糖質は、肝臓や筋肉組織でグリコーゲンに変換されますが、余った場合、1gにつき約1gの中性脂肪となるそうです(by Google Bard)。
まあそうですよね、なので脂肪もそうなのか、と思ったら、飽和脂肪酸はほぼそうなるようですが、不飽和脂肪酸は異なるようです。
いずれにしても先の食事内容なら、糖質制限食の方が中性脂肪になる量は少なそうですが……
そもそもカロリー違いますからね、多い方が不利なのは当たり前で、糖質をもう50g減らせばどっこいです。
でも、そんなに減らしたらお腹すきますよねぇ……
そういう意味で、実際に食事内容を検討してもらえれば良いかな、と思います。
なおその上で、コレステロールやLDLについては、これはもう素人のコントロールできる範囲は超えている部分があります。
経口摂取によるコレステロールはあまり考える必要は無さそうですが、かと言って無闇に大量に摂るのもリスクですので、葉物の野菜やタンパク質も含めて考えてみるのが良いのではないでしょうか。
ここから先は皆さんでご判断を、と丸投げして(おいおい)、今回は筆を置こうと思います。
余談
管理人的には、糖質と脂質は同時に摂ると、それぞれを個別に摂った場合に比べて、最も良くない結果につながるのではないか、と考えています。
糖質セイゲニストとしてはもちろんですが、そうでない方々にとっても、甘いクリームとか蜂蜜とバターたっぷりのったホットケーキとか……ヤベェ、マジ美味そう(笑)
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