糖尿病人のSMBG(Self Monitoring of Blood Glucose)=自己血糖測定における一番大事な数値は、空腹時よりも食後血糖値です。
摂取した糖質によって食後血糖値の推移は変化しますが、概ね1時間〜2時間の間がピークとなります。
ただし、極端に糖質が多くまた消化の早いものの場合は30分後がピークとなる場合もあります。
いずれにしても、その食後血糖値のコントロールが、将来の合併症予防を大きく左右する結果になります。
糖尿病の合併症は高血糖状態が続けば続くほど発症するリスクが高いです。
それは血糖が多い状態だと身体のタンパク質が糖化を起こしやすくなるためです。
糖化したタンパク質が変成や劣化を起こし、終末糖化産物=AGEsになると、それ以上分解される事がほとんどなくなり、体内に蓄積する事で様々な悪影響を及ぼします。
動脈硬化、気管支喘息、関節炎、心筋梗塞、腎障害、網膜症、歯周病、神経障害、等々の様々な炎症が起きると言われています。
(参考:Wikipedia)
そのAGEsの元凶が血液中の糖質、すなわち血糖であるわけです。
もちろん、糖質は身体中の細胞に必要なエネルギー源でもあるので、無いと困ります。
ですが、有りすぎても困るのです。
そして余った糖質は通常、インスリンの働きによって様々な細胞に取り込まれてエネルギー源となったり、筋肉や肝臓でグリコーゲンとして蓄えられたり、脂肪細胞においては脂肪として蓄えられます。
脂肪細胞は頑張ってどんどん余っている糖質を脂肪に変えていくわけですが・・・
それがさらに過剰に存在し続けると、AGEsとなって細胞を傷つける元凶になるのです。
血管は最初に影響を受ける細胞のひとつでしょう。
血管がAGEsによって傷つくとどうなるか。
弾力性が無くなって動脈硬化と呼ばれる現象が起きるわけです。
ちなみに「静脈硬化」という言葉はありませんが、静脈も硬化現象を起こす可能性はあります。
ただ、静脈を流れる物質は動脈に比べて糖化される物質が少ないため、動脈ほど硬化現象が起きにくいのも事実です。
いずれにしても、食後高血糖が長く続けば続くほど、AGEsが産生される可能性が高まり、それが結果的に血管や細胞を傷つけていき、やがて合併症に繋がっていきます。
ですから、なるべくなら食後の高血糖状態を作らない、長くさせない方が良い訳です。
糖質制限はこういった事を考慮する上で、理にかなった療法だと思います。
将来にわたって合併症のリクスを減らす上でも、食後高血糖には十分注意する必要が有ると思います。
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