インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で分泌されます。
膵臓は長さ15cmくらいの臓器で、折れ曲がった十二指腸にちょうど頭を突っ込むような形で隣接しています。
膵臓はその95%以上を外分泌腺が占めており、その中でランゲルハンス島は島状に浮かぶように存在している内分泌を行う細胞群です。
ランゲルハンス島は、α細胞、β細胞、δ細胞、PP細胞などと血管で出来ています。
その15cm程度の膵臓の、わずか5%程度のランゲルハンス島のさらにそのなかのβ細胞で、インスリンが分泌されています。
こうやってみると、インスリンって物凄く貴重なホルモンなんじゃないか、って思えてきます。
さて、インスリンの機能は主に次のようなものです。
- 骨格筋ににおけるグルコース、アミノ酸、カリウムの取り込みやたんぱく質合成の促進
- 肝臓における糖新生の抑制
- グリコーゲンの合成促進と分解抑制
- 脂肪組織におけるグルコースの取り込みと利用促進、脂肪合成促進と分解の抑制
(出典:Wikipedia)
これらの作用を促すことで結果的に血中のグルコースが減って、血糖値が下がります。
ご存知の方も多いと思いますが、この「血糖値を下げる」と言う機能を持ったホルモンは、インスリンだけです。
血糖値を上げるためのホルモンは、成長ホルモンやグルカゴン、甲状腺ホルモン、アドレナリン、コルチゾールと色々あります。
なんででしょう?
いつものように管理人が勝手にその理由を想像してみました。
まずは、「身体が血糖値を下げたくない」からそういうシステムになっている、と言う理由。
これは、血糖値が下がりすぎると様々な不都合が生じるためです。
例えば赤血球と一部の細胞はグルコースからしかエネルギーを取り出せません。
これは生命システム全体にかかわる問題です。
故に低血糖は避けなければならないわけです。
そのため、いざという時のためにグリコーゲンの分解や糖新生を亢進させる仕組みを複数用意してある、と考えられます。
他の理由を考えてみます。
「そもそも血糖値は上がる事よりも下がる事の方が多いから」
人が今のように農耕によって炭水化物を頻繁に、しかも大量に摂取するようになったのは、だいたい1万年前くらいと言われています。
それまでは狩猟と採集による生活だったわけです。
当然のことながら、狩猟では肉がほぼ全て、採集も果実がメインで、果物類もあったでしょうけど、どちらかというと保存の効く実や種がメインだったと考えると、食事から得られる糖質はそう多くなかったのは明らかでしょう。
もちろん、大量に摂れるタイミングもあったでしょうけど。
今みたいに1日3回、100g以上の糖質を摂るなんて事は全くなかったと言えるんじゃないでしょうか。
そうなると、そもそも食事で高血糖状態になる事は少ないので、血糖値を無理やり下げる必要は無いですよね。
そう考えると、インスリンはグリコーゲンや中性脂肪の貯蔵のために必要なホルモンであり、血糖値を下げる役割は副次的なもの、と考える事が出来ます。
すくなくとも今の糖尿病治療で処方されているような使われ方はそもそも想定外なわけです。
想定外の使い方をしていて、弊害や問題が起きないんでしょうか?
いえ、既に起きてるんじゃないかと思ってるんですけど・・・
人類のたどって来た食生活を鑑みるに、グルコースを貯蔵するタイミングは限られており、そのためそれを亢進するホルモンも一つあればことたります。
だから結果的に、血糖値を下げる機能を持ったホルモンはインスリンしかない、そう考えるとすんなり納得出来そうです。
最初にインスリンと言うホルモンが人類の進化の過程で現れた時、本当は何のために生成されたんでしょう。
それがわかるなら、今の高血糖や糖尿病に対する考え方も、少し変わるんじゃないかな、と思っています。
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