さて、脂質の消化吸収から代謝まではどうなっているのでしょう?
脂質、主に食物から摂取する脂質は人の身体にある中性脂肪(トリグリセリド)と同じもので、胃から十二指腸を通り抜ける際に胆汁でまず乳化され、その後リパーゼの働きを受けてモノグリセリドと脂肪酸に分解され、小腸で吸収されます。
この際、脂肪酸の大きさに寄って流れが変わり、小さいもの(単鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸)は糖質同様門脈経由で肝臓に行くのですが、長鎖脂肪酸はリンパから吸収されて身体を巡ります。
ただ、殆どの脂肪酸は長鎖脂肪酸なので、それほど多くは門脈に流れる事はないです。
また、従来の概念ではモノグリセリドは更にグリセリンにまで分解されると言う事になっていましたが、最近の研究結果からそこまで分解される前に吸収されてしまうということがわかったようです。
これ、中学の教科書に載ってるんですって・・・すごいな、最近の中学生。;^_^A
というわけで多くの脂質は小腸からリンパ管経由で全身を組まなくわたり、最後に肝臓に入ってきます。
中鎖脂肪酸は先に門脈経由で肝臓にたどり着きますから、この経路の違いによる時間差を良くダイエットサイトで指摘されているんですが、どういう意味があるのでしょうか?
肝臓に入った脂肪酸はミトコンドリアでβ酸化され、アセチルCoAになります。この際に発生したエネルギー(NADHとかFADHとか)が、糖新生に利用されるのです。また、この時熱産生も行われるので体温の上昇にも関わってきます。
なるほど、さっさと肝臓に輸送される脂肪酸は早々と糖新生のエネルギーに利用される訳ですね。
ここでちょっと思い出しましょう。
アセチルCoAは肝臓でケトン体として血中に放出されます。つまり、ここで脂質は糖新生のエネルギーとなりつつケトン体にもなるわけです。
さて、ではリンパに入った脂肪酸はどうなるのでしょうか?
それらはカイロミクロンと呼ばれるトリグリセリドを中心とした複合体の状態でリンパ管を巡り、各臓器や細胞に吸収されつつ残った分が肝臓に到着します。
結果、糖新生のエネルギーになったりケトン体の生成に使われる事になります。
では余ったら?
もちろん脂肪細胞がトリグリセリドの形で取り込んで貯蔵します。
「なんだ、脂質だって結局中性脂肪になるじゃん」ってお思いですか?
確かにその通りです。ただ、摂取量が通常食と糖質制限食とではものすごい差があります。
前回の記事を例にすると、
「うどん(200g)+麺つゆ(ストレート:70g)+カボチャの煮付け(50g)」
の場合、カロリーは640kcal、糖質は概ね132g、タンパク質は14g、脂質はわずか1.2g程度です。
これに対して
「牛肉肩ロースステーキ(200g)+ミックスレタス(100g)」(すみません、趣味です)
の場合、カロリーは490kcal、糖質は概ね2g、タンパク質は38g、脂質は35g、となります。
どうです?
130gの糖質と35gの脂質。
メニュー的にはどっちもお腹いっぱいになりそうですよね。
カロリー的には・・・むしろ後者の方が少ないです。
もし必要なエネルギー量を上回ったら、脂質だろうが糖質だろうが余るんですよ、脂肪として。
だから糖質も脂質もカロリー制限上区別する必要はないはずです。
え?じゃあ通常食でいいじゃん?
いやいやいや、管理人は「2型糖尿病人」ですから、糖質摂ると血糖値が上がるじゃないですか。
でも脂質摂っても血糖値は上がらないんです。
それは上記の通りです。脂質摂ってもグルコースは出来ません。
間接的に糖新生が行われるだけです。
血糖値上がると何が困るかはまた別の記事にするとして・・・
どうでしょうか。
糖質と同じくらい脂質も有効な栄養素で、糖尿病にはどっちかって言ったら脂質中心の方がより健康的でバランスがいい食事になる、と思えませんか?
そろそろ古いままの知識に頼った、偏った医療を見直してもらえませんかね・・・
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